派遣エンジニアとして働いていると、現場ごとに雰囲気もルールもバラバラで、正直ちょっと“ガチャ要素”があります。

当時は知識も経験もなく、その違和感の正体が分からないまま働いていましたが、後から振り返ると「気をつけるべきポイント」がいくつもあったと気づきました。

この記事では、僕が実際に遭遇したケースをもとに、派遣エンジニアが出会いやすい“危険な現場”の特徴と、僕が経験したグレーな職場を分かりやすく紹介します。
こうした知識を持っておくだけでも、未経験の人が不安な現場を避ける助けになるはずです。

前提:派遣やSESでは「二重派遣」と「偽装請負」が禁止されている

派遣やSESの働き方には、守らなければならないルールがあります。
その中でも特に重要なのが 二重派遣偽装請負 の禁止です。

二重派遣とは?

二重派遣は、簡単に言うと
“派遣された人を、さらに別の会社に派遣すること”

例を使うとイメージしやすいです。

● 二重派遣の例

  • A:派遣元(自社)
  • B:派遣先
  • C:派遣先のさらに派遣先

本来の流れは
A → B(ここで働く)
で終わりです。

しかし、問題のあるケースではこうなります。

A(派遣元) → B(派遣先) → C(さらに別の会社)

AとCは契約関係がありません。
それなのに、BがAの社員を 勝手にCへ派遣している状態 になります。

なぜこれが禁止なのか

① 労働者を「誰が管理するのか」が曖昧になる

二重派遣になると、誰が自分を管理しているのか分からなくなるのが一番困りました。

本来は「雇用はA社、指示はB社」というシンプルな形なのに、
C社まで絡むと、

  • 誰の指示を優先すべきか
  • トラブル時の責任はどこか
  • 労働時間や安全管理は誰が見るのか

未経験のうちは気づきにくいですが、「指示系統が複雑」「誰から指示を受けるのか曖昧」
といった誰からも指示がなくて放置状態な現場は派遣者からするとかなりしんどい。
もう帰っちゃおうかなって思うような現場もありました。

あとは、指示されても内容が人によって違う、自分で作業の判断ができないとき誰に聞けばいいのか分からない、聞いてもたらい回し、みたいなこともあってメンタルやられる現場もありました。

② 労働災害が起きたときの責任が不明になる

例えばCの現場でケガをしたとする。

でもあなたはAの社員で、Bを経由してCにいる。

このとき…

  • Aが責任を取るのか
  • Bが責任を取るのか
  • Cが責任を取るのか

これが曖昧になる。

労災などは自社から降りるのは間違いないんですが、争点は業務上の責任ですね。
ここは経営者間の問題なのであまり労働者は関係ないですが、法律は「労働者の安全」を最優先にしているため、責任の所在が不明になる働かせ方はNGです。

「中抜きされるから禁止」は誤解

これも知っておいて欲しいのですが、二重派遣について調べていると、
「中抜きされるからダメなんでしょ?」という説明を見かけます。
でもこれはちょっと違うと思っていて、

派遣はそもそも「派遣元がマージンを取る仕組み」で成り立っているので、
中抜きがあること自体は違法でも問題でもありません。
給料も働く前に説明されるため、労働者が損をするわけでもありません。

二重派遣が禁止されている理由はあくまでも、
“労働者を誰が管理するのかが曖昧になるから” だと思っています。

偽装請負とは?

偽装請負とは、契約上は「請負(丸ごと任せる仕事)」なのに、実態は派遣のように指示を受けて働いている状態のこと。

まず、請負契約とは「仕事を完成させること」を目的とした契約のことです。
発注側(お客さん)は「この仕事をお願いします」と依頼し、
請負側は 完成した成果物を納品すること が責任になります。

ポイントはここ。

  • 作業の進め方は請負側が決める
  • 現場での指示は請負側のリーダーが行う
  • 発注側は「直接指示を出さない」のがルール

流れを表すとこう

B(発注者)
↓ 成果物の依頼
A(請負会社・自社)
↓完成品の納品
B(受け取るだけ)

つまり、発注者は依頼したら出来上がったものを受け取るだけ。やり方には一切口を出してはいけない。その代わり請負側は完成させて納品する義務があるってこと。

このルールが守られず、
Bが現場で直接「これやって」「こう進めて」と指示してしまうと
契約は請負なのに、実態は派遣と同じ働き方になるため、
契約と実態がズレている=偽装請負 となる。

これの良くないところも責任の所在が曖昧になって労働者が板挟みになることだと思います。

■ 危険な現場の特徴(チェックリスト)

  • 指示を出す人が複数いて、誰に従えばいいか曖昧
  • 派遣先ではなく、さらに別の会社の人から指示が飛んでくる
  • 面談で聞いた業務内容と実際の作業が大きく違う
  • 自社の社員が現場に一人もいない
  • 作業の進め方を派遣先がすべて決めている(請負なのに)
  • 現場のルールや責任者がはっきりしない
  • 「今日から別の現場に行って」と急に言われる
  • 誰に相談すればいいか分からない状態が続く

未経験や初心者がいきなり請負の現場に行くことは無いと思うけど「普通かどうか」の判断基準がないので、違和感をスルーしがち。

どう対処すべきか

  • 指示系統が曖昧なら、誰の指示を優先すべきか確認する
    → 曖昧なまま働くとトラブルの原因になる。
  • 業務内容が違う場合は、契約内容と照らして相談する
    → 契約と違う仕事をさせるのはNG。
  • 精神的にきついなら、現場変更を相談していい
    → 派遣は現場を変えられるのが強み。

法令違反と知りながら働き続けるとどうなるのか

前提として、労働者が罰せられることはありません。
二重派遣や偽装請負で処罰されるのは会社側です。

ただし、働き続けるメリットはゼロで、デメリットしかありません

① トラブル時に守られない

契約が崩れている現場では、問題が起きたときに
「誰の指示で動いたの?」
「うちは関係ない」
と責任の押し付け合いになる。

最終的に矢面に立つのは労働者。

② キャリアが積み上がらない

契約が曖昧な現場ほど、業務内容も曖昧になる。

  • 聞いていた仕事と違う
  • スキルが身につかない
  • 評価されない

未経験者ほどダメージが大きい。

③ メンタルが削られる

指示系統がぐちゃぐちゃで、相談相手もいない。
「自分が悪いのかも」と思い込みやすく、消耗する。

④ 労災やトラブル時に会社が動かない

二重派遣・偽装請負の現場は、責任の所在が曖昧。
ケガやトラブルが起きても、
「うちの指示じゃない」
と対応が遅れたり、放置されることもある。

まとめ:おかしいと思ったら担当営業にガンガンチクれ。それでもダメなら…

二重派遣や偽装請負は、表面上は会社同士の問題に見えて、実際に一番ダメージを受けるのは労働者。板挟みになって疲弊しきって倒れるだけ。
労働者が罰せられることはない が、働き続けても デメリットしかない

もしいまの環境がおかしいと思ったらすぐに担当営業に連絡してください。私はトイレに行くふりして電話しました。

それでもダメなら

でもね、自社もすぐ動いてくれないんですよ。おそらく相談したら「問題ないです」とか「そういうものです」とか言われます。そんなわけ無いだろー!ってボロクソ言いたくなる気持ちになりますが、その場合冷静になって次の手を打ちましょう。

そう、労働局に相談だ。いきなり会社名を出したり通報はしなくて大丈夫です。まずは現在の状況を報告して、法令違反の可能性が高いことの確証を取りましょう。

あとは労働局の方が対処法を教えてくれます。それでもダメで改善されないようなら会社名を出して通報でもいいと思います。

私は自社に相談後、1ヶ月以上改善がなかったので、「何度も相談をしておりますが改善がないため、一週間以内に是正提案が出されない場合は労働局に相談します」ってメール送ったら即動きました。最初からやれ。

違和感を覚えたら「自分が弱いから」ではなく、構造が間違っているだけ。
早めに自社の担当へ相談し、環境を変えることが最善の防御になります。

何度も言いますが、二重派遣と偽装請負は労働者にデメリットしかありません。

すぐに自社へ相談しましょう。